第7回調査報告書(平成18年度)


 はじめに
 
 この調査は、独立行政法人産業技術総合研究所中国センターの、ものづくり基盤技術支援室が、平成18年11月から12月にかけて、中国地域5県に本社又は事業所が存在する金属塑性加工企業を対象に、業務概要、抱える問題点、支援機関への要望等を調査したものである。
 平成18年11月下旬に、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が発行しているタウンページ(職業別電話帳)の職業別分類の“金属加工(プレス・板金)”、“金属加工(鍛造)”などに電話番号が記されている企業1119社に調査票を郵送し、このうちの179社から有効回答を得た。
 回答していただいた企業の方々に深く感謝いたします。
 調査結果概要
 前記の有効回答企業179社について回答を集計した。以下に示す%表示の数値は、この179社を100%とした比率である。  
 なお、以下に示す棒グラフの大部分においては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。
調査結果
 <1.回答企業の概要
1.1 県別比率
1.2 従業員数別比率
1.3 創業年代
1.4 ホームページの有無
1.5 電子メールの有無
 <2.設問への回答
2.1 回答企業の加工内容
2.2 回答企業における加工技術上の問題点 
2.3 企業の外部からの技術支援対策等
 <3.まとめ
表紙

調査結果

 

 以下の文章で、%表示の数値は、回答企業179社を100%とした百分率である。
 なお、図3以外の棒グラフにおいては、企業規模による傾向の違いも検討できるように、回答企業数を従業員数別に8段階に分類・色分けして表示した。




<1 回答企業の概要>


 1.1 県別比率



 179社の回答企業のうち、広島県が51%(92社)、岡山県が25%(45社)、山口県が12%(22社)、鳥取県が7%(13社)、島根県が4%(7社)であった。県別分布のグラフを図1図2に示す。


県別の回答企業数
図1 県別の回答企業数
回答企業数の県別比率
図2 回答企業数の県別比率


 1.2 従業員数別比率


 回答企業の従業員数別の内訳を図3図4に示す。従業員数が30人から99人の企業からの回答が比較的多く、全体の39%であった。なお、従業員数が1桁(9人以下)の企業の数は22社であり、全体の12%であった。                            

従業員数別の回答企業数
図3 従業員数別の回答企業数 
回答企業の従業員数別比率
図4 回答企業の従業員数別比率


 1.3 創業年代


 集計結果を図5に示す。江戸・明治が3%(5社)、大正が2%(3社)、昭和元〜20年が8%(14社)、昭和21〜40年が37%(67社)、昭和41〜63年が32%(57社)、平成が11%(19社)であり、戦後の昭和時代に創業した企業が非常に多い。なお、従業員が9人以下の企業は全て戦後創業である。 


創業年代の分布
図5 創業年代の分布


 1.4 ホームページの有無


 集計結果を図6に示す。“ある”と回答した企業が58%(103社)であり、“ない”と回答した企業の16%(28社)よりもはるかに多かった。この比率を従業員数別にみると、従業員が19人以下の企業では“ない”と回答した企業が“ある”と回答した企業よりも多いか同数であったが、従業員が20人以上の企業では“ある”と回答した企業が“ない”と回答した企業よりも多く、一般に従業員が多い企業ほど“ある”の比率が高かった。


ホームページの有無
図6 ホームページの有無 


 1.5 電子メールの有無


 集計結果を図7に示す。どの従業員数区分においても、“ある”と回答した企業が“ない”と回答した企業よりも多かったが、一般に従業員が多い企業ほど“ある”の比率が高かった。


電子メールの有無
図7 電子メールの有無 




<2 設問への回答>

 2.1 回答企業の加工内容


問1 貴社が加工する部品はどの分野で使用されるものですか。該当番号に○印を付けて下さい。
その他、の場合には具体的に記入してください(問2以下も同様)。 (複数回答可)
1.輸送用機械   2.一般・精密機械   3.鉄鋼・金属   4.電気・電子   5.土木・建設   6.化学   7.食品   8.繊維   9.紙・パルプ   10.その他(          )   11.不明
加工する部品の使用分野
図8 加工する部品の使用分野(複数回答可) 


 集計結果を図8に示す。“輸送用機械”及び“一般・精密機械”が最も多くて、各々41%(73社)及び40%(72社)の企業がこの分野の部品を加工している。次いで、“鉄鋼・金属”が31%(55社)、“電気・電子”が22%(39社)、 “土木・建設”が20%(35社)、等の順であった。 


問2 貴社はどの塑性加工用工作機械を所有していますか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.圧延機   2.引抜き加工機  3.押出し加工機  4.ロール成形機  5.転造盤  6.スピニング機(へら絞り盤)   7.せん断加工機(シヤー)  8.曲げ加工機(ベンダー)  9.機械式プレス  10.液圧式プレス  11.鍛造機(エアハンマ等)  12.バルジ成形機  13.高エネルギ速度加工機(放電成形用、電磁成形用、爆発成形用)   14.その他(     )
所有する塑性加工用工作機械
図9 所有する塑性加工用工作機械(複数回答可)

 

 集計結果を図9に示す。“曲げ加工機(ベンダー)”、“機械式プレス”、“せん断加工機(シヤー)”、“液圧式プレス”が比較的多くて、各々58%(104社)、55%(98社)、50%(90社)、46%(82社)の企業が所有している。これら4種類以外では、“ロール成形機”の18%(32社)、“転造盤”及び“鍛造機”の6%(11社)等の順であった。


問3 貴社はどの加工を行っていますか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.圧延   2.引抜き   3.押出し   4.ロール成形   5.転造   6.スピニング(へら絞り)   7.せん断(打抜、穴明)   8.曲げ   9.板材プレス成形(曲げ以外。絞り等)   10.鍛造   11.バルジ成形   12.高エネルギ速度加工(放電成形、電磁成形、爆発成形)   13.その他(     )   
行っている塑性加工法
図10 行っている塑性加工法(複数回答可)

 

 集計結果を図10に示す。“曲げ”が最も多くて70%(125社)の企業が行っている。次いで、“せん断(打抜、穴明)”が59%(106社)、“板材プレス成形(曲げ以外。絞り等)”が30%(54社)、“ロール成形”が16%(28社)、“鍛造”が9%(17社)、“転造”が7%(13社)、等の順であった。

問4 貴社はどの材料を加工していますか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.炭素鋼  2.ステンレス鋼  3.工具鋼  4.その他の合金鋼  5.鋳鉄  6.アルミニウム合金  7.銅合金  
8.ニッケル合金  9.チタン合金  10.鉛合金  11.亜鉛合金  12.マグネシウム合金  13.その他(     )
加工している材料
図11 加工している材料(複数回答可)


 集計結果を図11に示す。“ステンレス鋼”及び“炭素鋼”が他の材料よりもはるかに多くて、各々72%(129社)、71%(127社)の企業がこの材料を加工している。次いで、“アルミニウム合金”が38%(68社)、“その他の合金鋼”が19%(34社)、“銅合金”が18%(33社)、等の順であった。


問5−1 貴社が最も多く加工する工作物材種は何ですか。 以下に記して下さい。
[(例:SS400、SUS304、AL5052)]
最も多く加工する工作物材種
図12 最も多く加工する工作物材種(複数回答可)
(比較的多かったもの)


 自由記入であるために様々な回答をいただいたが、比較的多く挙げられた材種について集計した結果を図12に示す。“一般構造用圧延鋼材(SS***)”が最も多くて、51%(91社)の企業がこの材種を最も多く加工しており、なかではSS400が最も多い。次いで、“ステンレス鋼(SUS***)”が41%(73社)であり、なかではSUS304が最も多い。その次は、“アルミニウム合金(AL***)”の14%(25社)であり、なかではAL5052が最も多い。さらに、“機械構造用炭素鋼(S**C)”、“冷間圧延鋼板及び鋼帯(SPCC)”、“熱間圧延軟鋼板及び鋼帯(SPHC)”、等の順であった。


問5−2 その工作物の用途は何ですか。 以下に記入して下さい。わからない場合には“不明”を○で囲って下さい。
(例:自動車車体、ねじ、飲料缶)
その工作物の用途
図13 その工作物の用途(5社以上が回答したもの)  


 具体的な回答を多数いただいたが、自由記入であるために当然ながら用語が不統一であった。あえて分類して、比較的多く挙げられたものをまとめたものが図13である。それによると、“自動車部品”が他の用途よりもはるかに多くて20%(36社)であり、次いで、“建設関係”が7%(13社)、“農業”が6%(11社)、“金型”及び“電気・電子部品”が5%(9社)、“食品関係”、“配電盤・制御盤”、“船舶”が4%(7社)、等の順であった。 


問5−3 その工作物の加工後の寸法はどのくらいですか。  該当番号に○印を付けて下さい。
1)10mm未満  2)10mm以上〜100mm未満  3)100mm以上〜500mm未満  4)500mm以上〜1m未満  5)1m以上
工作物の加工後寸法
図14 工作物の加工後寸法 


 集計結果を図14に示す。10mm以上について比較的まんべんなく回答をいただいたが、最も多い寸法は“1m以上” であり、38%(68社)の企業が回答した。次いで、“100mm以上〜500mm未満”が35%(62社)、“500mm以上〜1m未満”が31%(55社)、、“10mm以上〜100mm未満”が30%(53社)、“10mm未満”が18%(33社)の順であった。


問5−4  その工作物に要求される形状(寸法)精度はどのくらいですか。 該当番号に○印を付けて下さい。
1)1μm未満  2)1μm以上〜10μm未満  3)10μm以上〜100μm未満  4)100μm以上〜1mm未満  5)1mm以上
工作物に要求される形状(寸法)精度
図15 工作物に要求される形状(寸法)精度 


 集計結果を図15に示す。“100μm以上〜1mm未満”が最も多くて、41%(74社)の企業がこの範囲の要求精度の工作物を最も多く加工している。次いで、“1mm以上”が35%(62社)、“0μm以上〜100μm未満”が21%(37社)、“1μm以上〜10μm未満”が8%(15社)の順であった。“1μm未満”と回答した企業は全くなかった。なお、切削加工企業を対象にした平成17年度の調査6)では、工作物に要求される形状精度は10μm以上〜50μm未満が最も多かった。


問5−5 その工作物に要求される加工面粗さ値(最大高さ:Rz又はRy又はRmax)はどのくらいですか。該当番号に○印を付けて下さい。
1)1μm未満  2)1μm以上〜10μm未満  3)10μm以上〜100μm未満  4)100μm以上
工作物に要求される加工面粗さ値
図16 工作物に要求される加工面粗さ値 


 集計結果を図16に示す。最も多い値は“100μm以上”の37%(66社)であり、次いで“10μm以上〜100μm未満”が26%(47社)、“1μm以上〜10μm未満”が13%(23社)、“μm未満”が4%(7社)の順であった。なお、切削加工企業を対象にした平成17年度の調査6)では、工作物に要求される加工面粗さ値は、“1μm以上〜10μm未満”が最も多かった。

 2.2  回答企業における加工技術上の問題点

問6−1 貴社が困っている技術上の問題点は何ですか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.製品の割れ・傷・しわ  2.製品の形状不良・スプリングバック  3.工具(金型)の損傷  4.加工能率低  5.加工費用高  6.自動化困難  7.段取り時間長  8.プログラミング時間長  9.振動大  10.騒音大  11.素材供給法  12.潤滑剤関連  13.その他(              )
困っている技術上の問題点
図17 困っている技術上の問題点(複数回答可)


 集計結果を図17に示す。“製品の割れ・傷・しわ”、“製品の形状不良・スプリングバック”を挙げた企業が比較的多くて、各々32%(57社)、31%(56社)であった。次いで、“自動化困難”が28%(51社)、“段取り時間長”が25%(45社)、“工具(金型)の損傷”が21%(38社)、“加工費用高”が21%(37社)、“加工能率低”が20%(35社)、等の順であった。
問6−2 その具体的内容はどのようなものですか。差し支えない範囲で記して下さい。
 
技術上の問題点の具体的内容
図18 技術上の問題点の具体的内容

 

 合計59社から回答をいただいた。図18は、自由記入いただいた回答内容をあえて分類したものである。“小ロット・多品種”が最も多くて16社であった。次いで、“加工精度”及び“金型・工具の損傷”が12社、“製品不良(精度以外)”が9社、“技能・技術”及び“費用”が各5社、等の順であった。


問7−1 貴社では、製品又は工具(金型)の欠陥検出をどのような判断で行っていますか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.作業者の判断による  2.自動検出装置による  3.その他(    )
製品又は工具(金型)の欠陥検出の判断
図19 製品又は工具(金型)の欠陥検出の判断

 

 集計結果を図19に示す。“作業者の判断による”ものが大部分であり、85%(153社)が回答した。“自動検出装置による”と回答した企業は8%(15社)、“その他”と回答した企業は9%(16社)であった。


問7−2 具体的な検出基準は何ですか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)

1.製品の割れ・傷・しわ  2.製品の形状誤差  3.工具(金型)の損傷  4.振動  5.音  6.加工力(トルク)  7.超音波(AE)  8.その他(    )

具体的な検出基準
図20 具体的な検出基準(複数回答可)

 

 集計結果を図20に示す。“製品の形状誤差”及び“製品の割れ・傷・しわ”が多く、各々59%(106社)、54%(96社)の企業が回答した。次いで、“工具(金型)の損傷”が28%(51社)であった。他の検出基準はこれらよりもはるかに少なかった。他の検出基準の中で加工力とAEは検出装置が必要なものであり、使用されてはいるが普及率は低い。


問7−3−1 製品又は工具(金型)の欠陥をうまく検出できますか。該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.十分にできる  2.まずまず  3.あまりできない  4.全くできない  
製品又は工具(金型)の欠陥をうまく検出できますか
図21 製品又は工具(金型)の欠陥をうまく検出できますか

 

 集計結果を図21に示す。“まずまず”と回答した企業が56%(101社)、“あまりできない”が16%(29社)、“十分にできる”が16%(28社)、“全くできない”が1%(1社)の順であり、“まずまず”と“十分にできる”を合わせた肯定的回答の比率は72%であった。


問7−3−2 できないことがある時は、どういう場合ですか。以下に記してください。
(例:工具が損傷しても、加工力センサによる自動検出がうまくできない。)  
できないことがある時は、どういう場合ですか
図22 できないことがある時は、どういう場合ですか

 

 合計32社から回答をいただいた。図22は、自由記入いただいた回答内容をあえて分類したものである。“人的原因”に関するものが最も多くて12社であった。次いで、“検査・測定装置関係”が3社であった。さらに、その他の原因を17社が挙げた。

問8 問6と問7で回答された問題点の解決策として、どのような方法をお考えですか。該当番号に○印を付けて下さい。
1.自社解決(独自工夫、技術資料・書籍等を参照)  2.工具(金型)メーカに相談  3.加工機メーカに相談  4.親会社に相談  5.同業者に相談  6.県・市立工業(産業)技術センターに相談  7.国立研究所(独立行政法人)に相談  8.大学・高専に相談  9.その他(    )
問6と問7で回答した問題点の解決策
図23 問6と問7で回答した問題点の解決策(複数回答可)

 

 集計結果を図23に示す。“自社解決(独自工夫、技術資料・書籍等を参照)”が62%(111社)で、他の回答よりもはるかに多かった。次いで、“工具(金型)メーカに相談”が31%(55社)、“加工機メーカに相談”が26%(46社)、等の順であった。なお、“県立・市立工業(産業)技術センターに相談”は7%(13社)、“大学・高専に相談”は3%(6社)、“国立研究所(独立行政法人)に相談”は2%(3社)であった。
 9.の“その他”欄には、“コンサルタント”、“材料業者→メーカー”、“取引先に相談”、という回答が各1社から寄せられた。

 2.3企業の外部からの技術支援策等

問9−1  未経験の仕事が来た場合に適切な加工法・加工条件等を調べられる、無料のインターネット・ホームページがあれば利用したいですか。該当番号に○印を付けて下さい。
1.したい  2.内容による  3.必要ない  4.インターネットを未使用なので不明
適切な加工法・加工条件等を調べられる無料ホームページの利用希望
図24 適切な加工法・加工条件等を調べられる無料ホームページの利用希望


 集計結果を図24に示す。“内容による”が43%(77社)、“したい”が35%(63社)、“必要ない”が11%(20社)、“インターネットを未使用なので不明”が4%(7社)である。“内容による”と“したい”を合わせると78%であり、このようなホームページの利用希望は強い。次の問9−2への回答に示された要望に応えることのできるホームページの作成が課題である。 


問9−2  問9-1で、1.又は2.と回答された方にお聞きします。 どの材料のどの加工法について、このようなホームページを作成して欲しいでしょうか。以下に記入して下さい。
(例:ステンレス鋼の深絞り加工)
ホームページ作成希望の材料
図25 ホームページ作成希望の材料(自由記入)
ホームページ作成希望の加工法
図26 ホームページ作成希望の加工法(自由記入)


 様々な要望が71社から寄せられた。  
 比較的多く記された材料を図25に示す。“ステンレス鋼”が他の材料よりもはるかに多くて10%(18社)であった。次いで“アルミニウム合金”が5%(9社)、“ハイテン”が3%(6社)、“チタン合金”が3%(5社)、“樹脂類”が2%(3社)、等の順であった。
 比較的多く記された加工法等を図26に示す。“溶接”が最も多くて7%(12社)であった。次いで“曲げ”及び“絞り”が6%(11社)、“歪(取り)・スプリングバック”が5%(9社)、“鍛造”が2%(4社)、等の順であった。
 材料と加工法の組み合わせでは、“ステンレス鋼の溶接(歪)”が最も多くて3%(5社)であった。次いで“ステンレス鋼の曲げ”、“ステンレス鋼の絞り”が各々2%(4社)であった。
 回答に挙げられた様々な要望に応えるためには、様々な加工データベースの作成が必要であるが、なかでも“ステンレス鋼”に関する加工技術情報を公開することが大きな課題である。

問10 貴社として、問8に示したような公的機関に支援して欲しい事柄は何でしょうか。 該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.技術講演会・講習会・展示会の開催
2.異業種交流会等の交流事業の開催
3.公的機関からの郵送・ファックス・電子メール等による技術情報提供
 (特に入手したい情報があれば記してください。:                )
4.貴社からの電話、ファックス、電子メール等による技術相談への対応
5.技術アドバイザーの訪問による指導・相談
6.技術・製品開発に関する公的機関との共同研究
7.試作・試験・分析への対応
8.融資・補助金等の資金助成制度の拡充
9.そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい
10.その他(                                  )
公的機関に支援して欲しい事柄
図27 公的機関に支援して欲しい事柄(複数回答可)


 集計結果を図27に示す。“技術講演会・講習会・展示会の開催”が最も多くて、33%(59社)であった。次いで、“試作・試験・分析への対応”が25%(44社)、“融資・補助金等の資金助成制度の拡充”が21%(37社)、“貴社からの電話、ファックス、電子メール等による技術相談への対応”が17%(31社)、“技術アドバイザーの訪問による指導・相談”が14%(25社)、“異業種交流会等の交流事業の開催”及び“そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい”が11%(20社)、“公的機関からの郵送・FAX・電子メール等による技術情報提供”及び“技術・製品開発に関する公的機関との共同研究”が11%(19社)、等の順であった。
 なお、10.の“その他”欄には、“講習会”、“難物の展示会(難物製品は最高の講演者)”、“特許情報及び特許の売買情報”、という回答が各1社から寄せられた。


問11 貴社で、塑性加工以外に行っている加工法があれば、該当番号に○印を付けて下さい。(複数回答可)
1.鋳造  2.射出成形  3.切削  4.研削  5.研磨  6.放電加工  7.レーザ切断  8.レーザ溶接    9.アーク溶接  10.めっき  11.PVD・CVD  12.溶射  13.熱処理  14.その他(     )
塑性加工以外に行っている加工法
図28 塑性加工以外に行っている加工法(複数回答可)


 集計結果を図28に示す。“アーク溶接”が最も多くて47%(85社)が回答した。次いで、“切削”が41%(73社)、 “研磨”及び “レーザ切断”が25%(44社)、“研削”が20%(36社)、等の順であった。

<3 まとめ>

  中国地域5県の金属塑性加工企業を対象に、加工概要、加工技術上の問題点、外部からの技術支援策等に関するアンケート調査を行い、179社から回答を得た。主な回答内容は以下の通りである。

1.加工概要
・所有している工作機械は多い順に、曲げ加工機(ベンダー)、機械式プレス、せん断加工機(シヤー)、液圧式プレス、等であった。・行っている加工法は多い順に、曲げ、せん断(打抜、穴あけ)、板材プレス成形、ロール成形、等であった。・加工している材種は多い順に、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム合金、銅合金、等であった。
2.加工技術上の問題点
・加工技術上の問題点としては、製品の割れ・傷・しわ、製品の形状不良、自動化困難、段取り時間長、工具(金型)の損傷、加工費用高、加工能率低などが挙げられた。・製品又は工具(金型)の欠陥検出法は、作業者の判断によっている企業が大部分であり、自動検出装置を使用している企業は少なかった。なお、製品又は工具(金型)の欠陥検出は概ねうまく行われているが、作業者や検査機器などの原因で、うまくできない場合があるとの指摘がかなりの企業からあった。・加工技術上の問題点は自社で解決するという回答が多かった。・未経験の仕事が来た場合に適切な加工法及び加工条件等を調べることができる無料ホームページの利用希望企業の比率は、“したい”と“内容による”を合わせて80%近くあった。このようなホームページへのデータ掲載を希望する工作物は多い順に、ステンレス鋼、アルミニウム合金、高張力鋼板(ハイテン)、チタン合金、等であり、同じく加工法等は多い順に、溶接、曲げ、絞り、歪み(取り)、鍛造、等であった。
3.外部からの技術支援策等
・公的機関に支援して欲しい施策は多い順に、技術講演会・講習会・展示会技術講演会の開催、試作・試験・分析への対応、融資・補助金制度の拡充、技術相談への対応、等であった。なお、"そもそも、どこに何を問い合わせたらよいかを教えて欲しい"という声が、約11%の企業から寄せられた。

参考文献

1) 経済産業省 産業技術総合研究所 中国工業技術研究所:「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属切削企業300社の声)、2001年2月刊。
2) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第2回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属塑性加工企業144社の声)、2002年2月刊。
3) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第3回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料研削・研磨加工企業224社の声)、2003年2月刊。
4) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第4回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料溶接加工企業265社の声)、2004年3月刊。
5) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第5回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(材料鋳造企業89社の声)、2005年2月刊。
6) 独立行政法人 産業技術総合研究所 産学官連携部門 中国産学官連携センター ものづくり基盤技術支援室:第6回「中国地域ものづくり技術調査」報告書(金属切削加工企業331社の声)、2006年3月刊。