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構成刃先

 延性材料であるアルミニウムあるいは軟鋼などを比較的低速度で切削すると、切削部分での被削材の物理・化学的変化により被削材の一部が刃先に付着し、あたかも新しい刃先が出来たように振る舞う。これを構成刃先と呼ぶ。この付着物は加工硬化されて硬く、切削工具の刃先にかわって切削作用する。この状態で切削を継続すると構成刃先は更に成長するが、ある程度大きくなると切削力に耐えることができなくなり構成刃先は脱落する。しかし切削部分での条件が変わらない限り構成刃先は再度発生し、また脱落・再生の過程を繰り返す。



図1 構成刃先の生成 1)       図2 構成刃先の生成過程1)

 このような状態で切削を続けると刃先のすくい角が変化するために、切削面の状態は悪くなり寸法精度が落ちる。また脱落時に刃先の一部も脱落する可能性もあるので工具の損傷につながる。しかし、構成刃先ができると刃先のすくい角が大きくなったような状態を作るので切削抵抗が減り、刃先を保護する効果や、切屑が上向きにカールするために切屑処理をしやすくなるなどの利点も持っている。そのためこれを積極的に使う方法も考えられている。
 この構成刃先の発生原因は工具と被削材の間の親和性、あるいは被削材の加工硬化特性、延性などに原因がある。そのため構成刃先の発生を防ぐには刃先温度が被削材の再結晶温度以上になるようにする。そのためには次のような方法がある。
  1) 切削速度を上げる。
  2) 重切削をする。
  3) 加熱切削をする。
  4)すくい角を大きくする。
  5) 適切な切削油をもちいる。
  6) 親和性の低い工具材種にする(コーティング材種・サーメット材種にする)


1) 稲田重男、寺田利邦、中沢弘、大学課程 機械工作、(1995)、p21、オーム社

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