ま と め
◎過共晶Al-Si合金鋳物アルジル(鋳造)

1.実験の目的

試作セラミックス(TiCN-30TiB2系)のアルミニウム合金(Al-24%Si合金)アルジルに対する切削性能の検討。

2.被削材

高Siアルミニウム合金は、ピストン用合金として用いられ膨張係数比重が低下するが、共晶点が14%SiのためSiが初晶として析出するので加工性が悪く難削材として最たるものである。表1に使用したAl-24%Si 合金(アルジル)の化学成分を示す。

3.工具材

1に使用したセラミックス(TiCN-30TiB2)及び比較用工具材超硬K10(WC-Co系)の成分と機械的性貨を示す。

4.実験結果と考察

(1)工具損傷状態

2はアルジル切削時の工具損傷状態を示す。セラミックス(TiCN-30TiB2)は切削速度100m/minから200m/minにおいて、刃先ノーズを中心に急激なすべりによる初期摩耗を起こし寿命に至っている。
  その度合は切削速度が上るにつれ加速度的に大きく現われる。超硬K種(WC-Co系)では、100m/minで刃先を中心にした均一摩耗、150,200 m/min で境界部を最大とする三角摩耗である。

(2)工具摩耗進行曲線

3にAl-24%Si合金(アルジル)切削時の横逃げ面及び前逃げ面の工具摩耗の進行状態を示す。
  セラミックス(TiCN-30TiB2)は、100m/minでは2分でVB=0.2oに達するが、150,200 m/minでは1分でVB=0.4〜1.5oとなり寿命に至る。硬K種(WC-Co系)は、100m/minで切削時間10分でVB=0.2o, 150m/minでは2.5分でVB=0.2o,200 m/minでは1分でVB=0.4oになる。
  摩耗の進行においては、セラミックスの場合実用上の使用は無理であると思われる。
  超硬の場合100m/min以下において実用的な使用が考えられる。

(3)切削仕上げ面

4にAl-24%Si合金(アルジル)の切削仕上げ面を示す。セラミックスでは1分切削後Rmax=10μm前後であり、超硬K10(WC-Co系)では初期にRmax=25μm前後からVB=20.2oに達するとRmax=10μmになる。

5.結論

(1)セラミックス(TiCN-30TiB2系)のAl-24%Si合金(アルジル)切削においては初期に急激なすべり摩耗が発生し実用的には使用できない。

(2)超硬合金K種(WC-Co系)では、セラミックスに比較すると寿命は長いが、高速では摩耗の進行が早いので実用上V=100m/min以下が適正であると推定される。