ま と め
繊維強化プラスチックスGFRP

1.実験の目的

新素材工具、焼結ダイヤモンド(C系)の複合材料FRPに対する切削性能の検討。

2.被削材

 被削材に使用されたFRPはビニールエステル系樹脂で、G含有率65〜70%である。FRPは引張強さの大きいガラス繊維と、これと親利性の良い樹脂を結合させることによって、より広い、より優れた性能をもたせている。FRPの特徴は軽くて強い、成形成・耐食性が優れており、透光性がある。が、しかし、弾性率が低い、難焼燃に欠ける等の短所もある。

3.工具材

1に使用した焼結ダイヤモンド(C系)および、セラミックス(Al203-TiC系)の成分と機械的性質を示す。

4.実験結果と考察

(1)工具損傷状態

セラミックスの切削ではチッピング、欠損等は現れなかったが、巾広い摩耗が認められた。

(2)工具摩耗進行曲線

1にFRPのセラミックス工具での1分間切削後の摩耗巾を示す。100m/minでの摩耗の進行が大きすぎる。
  1にFRP切削時のダイヤモンド工具の摩耗の進行状態を示す。切削速度200m/min程度では、摩耗の進行はほとんど現れない。

(3)切削仕上げ面

2にFRPの切削仕上げ面を示す。セラミックスでの切削面の工具摩耗の影響で仕上げ面は良くない。ダイヤモンドの切削面は良い仕上げ面が得られた。また、仕上げ面の大きい凹部は、FRP成形時に材料に生じたものと思われる。

5.結論

(1)焼結ダイヤモンド(C系)のFRPに対する適正切削速度は、200m/minをはるかに越えていると思われる。

(2)セラミックス(Al2O3系)のFRPに対する適正切削は、100m/minよりかなり低速にあると思われるので、FRPの切削には適していない。