1.実験の目的

九州工業試験所で開発された、セラミックス(TiCN系)の炭素鋼S45C(焼準)に対する高速切削性能の検討。

2.被削材

炭素鋼は機械の構造部品として多品種が使用されているが、S45Cはその内の1つで、切削性、加工性が非常に良好で機械部品として用途が広い。 
表1に使用した炭素鋼の化学成分を示す。

3.工具材

表1に使用したセラミックス(TiCN系)及び、比較用工具サーメット(TiN系)の成分と機械的性質を示す。後者は前者に比べて硬度は著しく高いが抵抗力は大幅に小さい。

4.実験結果と考察

(1)工具損傷形態

セラミックス(TiCN系)、サーメット(TiN-TaN系)いずれの工具も300m/min,400m/minで境界摩耗が現れる。特にサーメットの場合、境界摩耗が著しく現れている。

(2)工具摩耗進行曲線

図1にサーメットとセラミックス工具で、炭素鋼S45C切削時の逃げ面の工具摩耗の進行状態を示す。切削速度200m/minではサーメットとセラミックスも工具寿命に大差は見られず、摩耗もゆるやかに進行している。しかし、300m/min,400m/minの切削ではセラミックスの寿命がサーメットに比べて著しくのびている。

(3)切削仕上げ面

図2にS45Cの切削仕上げ面を示す。
　 サーメット,セラミックス工具共、仕上げ面は切削速度と工具による影響は現れなかった。

5.結論