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基本級(A-2F)取得までの実習例

〜被覆アーク溶接〜


被覆アーク溶接の基本準備

溶接機 : 交流アーク溶接機/定格出力 300A
溶材 : 被覆アーク溶接棒/径 4.0mm
母材 : 炭素鋼 SS400など、厚さ 9mm

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実習順序

 1) ビードオンプレート溶接: ビードオンプレート溶接で溶融池の観察と運棒を習得する
 2) すみ肉溶接: 下向すみ肉溶接で疑似開先内の溶融池の形成を学ぶ
 3) 基本級A-2Fの溶接: 受験種目である突合せ溶接の基本を習得する (炭素鋼、中板下向き、裏板あり)

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1)ビード オン プレート溶接

準備するもの

母材 : 材質は炭素鋼、板厚 9X幅 125X長さ 200 (mm)ぐらいのサイズの平板
溶接棒 : D4301 又は D4316、棒径 4.0 (mm)

実習手順

運棒の基本を平板上で下向き姿勢で練習
  練習 溶接電流(A) 運棒 運棒上の注意
ストリンガービード

140〜170 クリックで拡大表示
  • アーク長2mm程度に保つ。消耗電極なので、徐々に棒を下げる必要がある

  • 溶接速度を一定にし、ビード幅が一定になるようにする

  • 溶融池を同じ形状に保つ

  • 溶融スラグが適度に溶融池を覆う棒操作
    (初心者にはこの見極めが大切)

  • スラグ巻込みに注意

ウィービングビード

 

150〜170 クリックで拡大表示

評価確認ポイント

 ビード形状が均一か  
 波形が整っているか  
 欠陥がないか  

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2)すみ肉溶接

準備するもの

母材 : 材質は炭素鋼 板厚 9x幅 80x長さ 150(mm)程度の平板を2枚
溶接棒 : D4301 又は D4316、棒径 4.0 (mm)

実習手順

T継手を用いて、斜めに立て、V開先を作る。そこに下向き姿勢で積層の練習を行う。
パス数 溶接電流(A) 運棒 運棒上の注意
1パス 180 クリックで拡大表示
  • ルート部を充分に溶かす

  • スラグの巻き込みに注意する

  • ビード表面を平滑にする

2パス 170
3〜4パス 160

評価確認ポイント

 ビード形状が均一か  
 波形が整っているか  
 欠陥がないか  
 積層は適正か  

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3)基本級A-2F溶接

準備するもの

母材 : 材質は炭素鋼。板厚 9x幅 125x長さ 150 (mm)の平板を2枚
裏当て金 : 材質は炭素鋼。板厚 6x幅 25x長さ 160 (mm)の平板を1枚
開先:

開先部の寸法とタック溶接 (仮付け)

  • 溶接面のスケールはヤスリ、グラインダー等で取り除く
  • タック溶接では母材と裏板を密着させること
クリックで拡大表示 クリックで拡大表示
溶接棒 : D4301 又は(D4316)棒径 4.0 (mm)

実習手順

層数 溶接電流(A) 積層図 運棒上の注意
180 クリックで拡大表示
  • 1層目:初層の溶込みが特に重要である(ルート間隔、溶接電流、アーク長を適切に設定する)

  • 1〜5層目:アーク長を2-3mm程度に保ち、各層の溶融池の幅、高さが適切になるよう運棒する。溶融スラグの巻き込みに注意する。

  • 適切な仕上げビード高さ(余盛)にするためには、4層目のビード表面高さが母材表面から0.5mm〜1mm程度低くなるように調整して運棒することが重要である。

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*) 160

*)特に運棒の難しい最終層の仕上げについての動画を以下に示す。下の動画では3層溶接となっており、上と溶接条件は異なるが、、熟練者の運棒テクニックを参照のこと。良好なビード外観を形成させるため、溶融池の形状に注目し、アーク長とウィービング幅とその棒先端を動かす速度を会得のこと。

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視聴覚ライブラリーNo.1「被覆アーク溶接」 ((社)日本溶接協会中部地区支部委員会編,産報出版(株))より37秒抜粋

評価確認ポイント

 1-4層目の面は平らか?、高さは一定か?、波形は均一か?  
 4層目は板表面より約0.5mm低いか?  
 5層目では余盛と幅、波形は適切で、かつアンダーカット等の欠陥はないか?  
 積層は適正か  

試験結果

検定では以下の試験を行う。

外観検査

表曲げ,裏曲げ試験

 

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