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中子

  鋳物の中空部を作るために生型と別に使われる鋳型で、芯、またはコアとも言う。鋳物の内面を作るのが目的であるので、生型の中におかれる。

 中子の製作は手間がかかる上に、鋳型の中に置くだけであるので中子の姿勢が不安定であると、肉厚が不均一になり精度が出にくくなる。そのため中子が安定した姿勢を保つような工夫を要する。そのため中子を主型にセットしたときに安定するように、中子の端を延長して主型で支えられる部分(「幅木」という)を設ける手段などが取られる。しかし幅木を用いても例えば図1(a)に示すように、重心が上方にあるときは不安定になるので図1(b)のように重心を下におき中子を納めやすい構造にするなどの手段が取られる。

 その他中子には次のような不都合があるのでできるだけ少ない方が良い。できれば中子のない鋳型構造にすることを考える。

  1. 中子を複雑な形状にすると型合せの時に主型と干渉を起こして生型を壊すおそれがある。
  2. 薄肉の中子は折れやすく、過熱による焼付を生じやすい。そのため砂落しが難しくなる。中子の肉厚の推奨値を表1、図2に示す
  3. 中子の回りが溶湯で取り囲まれるような構造にすると中子から発生したガスの抜け場がなくなる。

図1 安定した中子の例1)

図2   表1の参考図2)


区分

鋳鉄鋳物

鋳鋼物

長さ

@

d≧t (最小10mm)
または d≧T/3 

d≧2t (最小20mm)
または d≧T/2
I≦3d

A

d≧t (最小10mm)
または d≧T/3 
d≧2t (最小20mm)
または d≧T/2
I≦2d

B

d≧T/2 (最小10mm)
d≧T (最小20mm)
I=t

C

d≧T/2 (最小10mm)
d≧T (最小20mm)
I≦2d
表1 薄肉中子寸法の推奨値2)

1) 日本鋳造工学会編、鋳造工学便覧、p32、丸善 (H14)
2) 日本機械学会、機械工学便覧B-2-29、日本機械学